CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< April 2020 >>
NEW ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
PROFILE
MOBILE
qrcode
OTHERS
Search this site


読書の感想とメモです。
<< ベイジン 上・下 | TOP | 2011年10月のまとめ >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

posted by スポンサードリンク | | - |
漂砂のうたう
今月最後に読んだ小説がこの作品で本当に良かったです。
あぁ、しばらくこの切ない余韻に浸っていたい気分。
  
御一新ののち「自由」が謳われ始めた世の中で、
時世の流れに残されたような郭の町と、そこで生きるしかない人々を、
客引きの定九郎の視点から描いた作品。
  
定九郎はこの作り物の遊郭の町を「谷の底」と呼ぶ。
谷の底であえぐように息をしながら営む日々。
たとえば、芳里の苦しみとか、定九郎の憂鬱とか。
明日の見えない緩慢とした地獄のような毎日。
まるで沼の底にでもいるみたいに、生ぬるい毎日が息苦しくて
空を見上げて大きく口を開けるのに、なかなか空気が入ってこない苦しさ。
その感覚、ちょっと分かる。
自分を持て余すってこういうことなんだ。
でも、簡単に生まれ変わることなどできない。
自分は自分を生きるしかない。
  
そんな中で、
「耐えるだけじゃあなく、受け入れちまやぁ、こっちの勝ち」
と笑ってみせる小野菊の存在が希望でした。
本当に、泥の中の花のような。最後まで救いだった。
  
自由とは、過去を塗りつぶしてしまうことではない。
今の自分から逃げ出すことでもない。
消えない「生きた証」を刻んでいきながら、それでも道を切り開いていくこと。
  
時代の移り変わりに、そこに生きた人たちの人生が重なって見える。
そんな小説でした。
  
あと、タイトルが「漂砂のごとく」や「漂砂のように」ではなくて
「漂砂のうたう」ってのがすっごく良い!
読み終わったあと、しみじみとタイトルの意味を噛みしめました。
posted by ちょこれいとぼんぼん | 23:03 | 【小説】人生 |
スポンサーサイト
posted by スポンサードリンク | 23:03 | - |
コメント
コメントする