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読書の感想とメモです。
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永遠の0
2011年最後に読んだのがこの本で本当に良かったです。
   
志願兵として戦地に赴きながら「生きて帰りたい」と言い続けた祖父は、終戦の一週間前に特攻で亡くなっていた。
国のためならば命をも厭わないという軍隊の中にあって、勝つことよりも自分の命が大切だと言い切った祖父は異質の存在だった。
彼は何故軍隊に入り、戦地に赴いたのか。いくつもの戦地を転々としながら、何を思っていたのか。
そしてあれほどまでに生きることにこだわっていた男が何故、特攻隊として自らの命を投げ出して死んでいったのか。
  
主人公たちは祖父・宮部久蔵と戦争を知るために、当時海軍で生活を共にしていた人々を訪ね歩く。
生きることに執着していた宮部を臆病者だと嘲笑する者もいれば、命の恩人だと頭を下げる者もいる。
けど全員が何らかの形で宮部に影響を受け、衝突し、その後の人生を生きる糧としていた。
彼らが語ったのは、宮部の思い出を借りた自分だけの戦争体験記であり、懺悔や後悔や誇りだった。
彼らの言葉の端々に、誰かに分かってもらいたいという気持ちと、お前らに分かるもんかという気持ちが見え隠れする。
命を賭けた極限の日々の中で、最後に残ったのは愛する者への思い。
自分亡き後の、愛する家族の行く末だけをただ案じて、それだけを理由として命を投げ出した彼らの思い。
愛する人達や自分が生まれた国を守るために命を捧げるということと、
愛する人のために生きて帰りたいという宮部の執念はまったく同じ事だったのに、誰にも本当には理解されなかった宮部の気持ち。
ここに登場するすべての人達が、胸に秘めていることが多すぎると思った。
戦争が終わっても、胸のうちに抱えた荷を下ろせないで生きていた人たちばかり。
心残りを抱えたまま亡くなっていった人たちばかり。
心を殺さなければ戦えないのが戦争とよく言うけれど、こういう意味なのかと実感した。
    
そして同時に宮部の最期を見届けて思ったのは、「生きるってこういうことか」ということ。
たくさんの死線を越えて、抗って、死の直前まで生きる道を模索し続けた宮部。
肉体の生死ではなく、魂の生死というものを考えさせられた。
「どんなに苦しくても生き延びる努力をしろ!」
という言葉が本当に心に響いた。
愛する者が生き延びるために選んだ彼の決断に、涙が止まらなかった。
 
生きねば。
  
 
ところで戦時中のことを現在の価値観で図るのだけは私は反対です。
何が悪か。特攻とは何だったのか。愛国心とは何か。
すべて当時と今とでは考え方もまったく違うはず。
でもこの小説は現在の価値観だけに傾いている気がして…。
引っかかる箇所があったのが少し残念でした。
posted by ちょこれいとぼんぼん | 23:15 | 【小説】歴史 |
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